研究課題:日本の卒後臨床研修における性差が臨床能力獲得およびバーンアウト発症に与える影響
1.研究の目的・方法
本研究の目的は、日本の卒後臨床研修において、性差が臨床能力獲得およびメンタルヘルスに与える影響を明らかにすることです。これまで我々研究グループが実施してきた横断研究の結果から、基本的臨床能力評価試験(GM-ITE: General Medicine In-Training Examination)のスコアは一貫して男性が女性を上回る一方で、バーンアウトの有病割合は男性で高いという結果が得られています。しかし、臨床知識を問う標準化試験において女性研修医が恒常的に低い成績を示すこと、さらに国際的には女性医師の方がバーンアウトリスクが高いとされていることを踏まえると、日本の結果は既存知見と逆転しており、その背景要因の検討が必要です。本研究では、同一研修医の縦断データに着目します。主として研修医1年次(PGY-1: Postgraduate Year-1)から研修医2年次(PGY-2)にかけての変化を解析対象としますが、一部の対象者についてはPGY-0(入職直後)のデータも含めて検討します。これにより、GM-ITEスコアの変化量およびバーンアウトの新規発症率を男女間で比較し、単年度の能力差ではなく、研修過程における成長機会や業務負荷の蓄積といった要素の性差を検討することが可能になります。背景要因として、臨床現場における役割付与や経験機会の与えられ方に無意識の性差が存在する可能性が考えられます。例えば、指導的配慮のもとで特定の研修医に対し過度に保護的な対応がなされた場合、挑戦的症例への関与機会や主体的な意思決定経験が制限され、その結果、能力形成の過程に影響を及ぼす可能性があります。一方で、責任の集中や業務負担の偏在は、心理的負荷を通じてバーンアウト発症リスクに関連することも考えられます。本研究は、こうした研修環境に内在する構造的要因を縦断的に検証する初の試みです。本研究は、日本の臨床研修環境に潜在する構造的な性差を可視化し、公平で質の高い研修体制の構築に向けた実証的基盤を提供する点で高い意義があります。
2.研究の対象
2023-2024年度に⽇本医療教育プログラム推進機構(JAMEP)が実施する基本的臨床能⼒評価試験(GMITE®)受験者(※)で、⼗分な理解の上、研究参加について研究対象者本⼈の⾃由意思による同意が得られた⽅となります。
※2023年⼊職直後に実施したGM-ITE(PGY-0)を含む。
3.研究に用いる試料・情報の種類
(情報)GM-ITE受験者(研修医)の基本情報(学年、性別、卒業大学等)、所属施設データ(病院種別、立地等)、医療介護情報局データベースから抽出した病院特性情報、研修環境調査アンケートの情報(バーンアウト評価項目を含む)およびGM-ITEスコア
4.研究に用いる試料・情報の提供を開始する予定日
2025年5月15日
5.研究に用いる試料・情報の提供を行う機関
特定非営利活動法人 日本医療教育プログラム推進機構
理事長 黒川 清
6.研究責任者及び研究に用いる試料・情報を利用する者の範囲
順天堂大学 医学部医学教育研究室 教授 西﨑 祐史(研究責任者)
順天堂大学医学部 医学教育研究室 助教 關根 美和
順天堂大学 革新的医療技術開発研究センター 准教授 野尻 宗子
順天堂大学医学部 精神医学講座 准教授 勝田 成昌
順天堂大学大学院 医学研究科 データサイエンス 博士課程 大学院生 桐井 博子(D1)
順天堂大学医学部 学生 福田 彩乃(M5)
群星沖縄臨床研修センター センター長 徳田 安春
水戸協同病院 総合診療科 教授 小林 裕幸
藤田医科大学, 総合診療科, 講師 長崎 一哉
獨協医科大学 総合診療医学 教授 志水 太郎
自治医科大学 地域医療学センター 総合診療部門 講師 山本 祐
千葉大学 地域医療教育学 特任教授 鋪野 紀好
京都大学 医学部附属病院 総合臨床教育・研修センター 准教授 和足 孝之
7.外部への試料・情報の提供
上記データは、特定の個人が識別できないように匿名化し、セキュリティが確保されたインターネット経由、または電子媒体(特定の関係者以外がアクセスできない状態)でデータファイルとして提供します。本研究で得られた結果は、医学教育や精神医学や総合診療等に関する学会での発表および専門学術誌への論文として公表する予定です。いずれの場合においても、公表する結果は統計的な処理を行ったものに限り、研究対象者の個人情報は一切含みません。また、研究の透明性の確保および学術的検証(再解析・再現性の確認等)を目的として、匿名化した研究データについては、同意取得時点では個別に特定されない将来の関連研究に二次利用する可能性があります。あわせて、他の研究機関への提供やデータレポジトリ等への登録を行う可能性もあります。データの提供は申請制(制限付きアクセス)とし、利用目的や管理方法等を確認した上で実施します。なお、実際に二次利用を行う場合、または他機関へ提供する場合には、当該研究計画について改めて倫理審査委員会の承認を得ます(または、提供先機関において倫理審査の承認が得られていることを確認します)。
8.研究に用いる試料・情報の管理について責任を有する者の氏名
順天堂大学 医学部医学教育研究室 教授 西﨑 祐史
9.利益相反
本研究は、順天堂大学医学部医学教育研究室および大学院医学研究科データサイエンスの研究費により実施されます。その他の企業等からの資金提供はありません。
研究責任者の西崎は、特定非営利活動法人日本医療教育プログラム推進機構(Japan Institute for Advancement of Medical Education Program:JAMEP)において、基本的臨床能力評価試験プロジェクトマネージャーとしての業務に対する謝金を受領しています。和足は、JAMEPにおける講演に対して謝金を受領しています。鋪野は、JAMEPにおける講演および試験作成委員としての活動に対して謝金を受領しています。志水、山本は、JAMEPにおいて試験作成委員としての活動に対する謝金を受領しています。小林は、JAMEPにおける講演に対して謝金を受領しています。徳田は、JAMEPの理事を無報酬で務めるとともに、講演および試験作成委員としての活動に対して謝金を受領しています。その他の研究者には、開示すべき利益相反はありません。
なお、統計解析は客観性を担保するため、利益相反を有しない研究者(野尻・關根)が実施し、研究成果の公表にあたっては、すべての利益相反関係を適切に開示し、研究の透明性を確保します。
各共同研究機関の利益相反マネジメント方法については、所属機関の規程及び手順書等に則り、所属機関の利益相反委員会等に必要事項を申請し、その審査を受けています。
また、この研究の結果が特許権等の知的財産を生み出す場合、大学・研究者等に帰属し、あなたに帰属することはありません
10. お問い合わせ先
本研究に関するご質問等は、下記の連絡先までお問い合わせください。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報および知的財産の保護に支障のない範囲で、研究計画書や関連資料を閲覧いただくことも可能です。
また、本研究における試料・情報の利用についてご了承いただけない場合には、研究対象者ご本人または代理人の方は「研究目的利用に関する不同意書」に必要事項をご記入のうえ、下記窓口までご提出ください。その場合であっても、研究対象者が不利益を被ることは一切ございません。
照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
〒141-0032 東京都品川区大崎1-19-10 大崎KIビル6F
特定非営利活動法人 日本医療教育プログラム推進機構
TEL:03-6431-8191
研究責任者
順天堂大学 医学部医学教育研究室 教授 西﨑 祐史