令和2年1月31日に開催された、第3回医道審議会医師分科会医師臨床研修部会において、臨床研修制度における医師の働き方改革への対応について議論された。その中で、臨床研修医の労働時間が短縮されることで、経験症例数が減少するなど十分な研修がなされないようになり、医師養成に負の影響が及ぼされることが懸念された。また、適切な労務管理を求められることにより、自己研鑽を含めた研修時間の短 縮がなされる懸念も高まっているため、労働時間短縮の取組の中においても研修の質の担保がされるよう、制度として取り組む必要があるのではないかという提案がなされた。このような潮流の中、今後、初期臨床研修医の至適労働時間を決定していく上で、既存データを活用し、労働時間と基本的臨床能力の関連性の検討は重要である。そこで、私達は、2019年度 JAMEP基本的臨床能力評価試験(GM-ITE: General Medicine In-Training Examination)の結果および研修環境アンケートの結果を用いて、初期研修医の労働時間と基本的臨床能力 との関連性を評価する。