研究課題:医師臨床研修医における自己研鑽の捉え方と関連因子の解明
1.研究の目的・方法
自己研鑽は、医師が会得しておくべき「職業倫理に基づき、一人ひとりの患者について常に最善を尽くすため、新しい診断・治療法の追求やその活用といった研鑽を行っており、医療 水準の維持・向上のために欠かせないもの」という高い精神性と自主性が求められる姿勢である。しかし、本邦では2024年4月に導入された医師の働き方改革に伴い、所定労働時間外に行われる活動が、時間外労働に該当するのか、あるいは自己研鑽にあたるのかを判断しなくてはいけないという新たな課題が生まれ、時間外労働の比較対象として自己研鑽という言葉が用いられるようになった。このため、自己研鑽が「お金にならない損をすること」と認識されやすい状況が形成され、医療人として未熟な医師臨床研修医(研修医)にとって前述した自己研鑽の本来のもつ意味合いは大きく変化を遂げている可能性が高い。
本研究では、まず京都大学医学部附属病院群医師臨床研修プログラムに所属する研修医150名に対して、自己研鑽の捉え方について過去の基本的臨床能力評価試(GM-ITE)の背景因子と整合性をとりパイロット調査を行った。このアンケートではGM-ITEの基本質問項目にある年齢、希望専門科目(複数選択可)、内科ローテーション月数、1か月の平均救急外来当直回数、常時の平均入院患者受け持ち人数、1日の平均勉強時間(座学自習)、1週間の平均労働時間(日当直中の待機時間を含む)に加え、自己研鑽の反対語と同義語を3つずつ自由記述させ、自己研鑽の必要性についての個人の解釈を問う構成とした。82/150名(54.7%)から得た結果を解析し、全国調査に向けた回答選択肢を抽出した。具体的には、自己研鑽の反対語と同義語を、Japan Knowledgeに収載されている角川類語新辞典および類語例解辞典を用いて類語について代表的な表記にまとめ、頻出語リストを確認した。さらに階層クラスター分析を行い、各クラスターを代表する語句を選択し、全国調査における回答の選択肢とした。反対語および同義語の3つの回答が、それぞれどのクラスターに該当する語句なのかを確認することで、回答者を分類することが可能となった。自己研鑽の必要性については3名(2.0%)が「必要ではない」、11名(7.3%)が「わからない」と回答していた。自己研鑽の反対語と同義語から導き出される研修医の分類と自己研鑽の必要性の解釈について、明らかな関係性を示すことは難しかったが、GM-ITEの基本項目に加えて確認する因子としての意義を確認した。
全国調査を行うことで、自己研鑽の解釈は、性別、学年、研修医の志望診療科、実際の座学自習時間や労働時等だけでなく、自己研鑽の捉え方とどのように関連しているのか、明らかにすることが可能と考える。本邦の卒前卒後教育の現場で、より効率的かつ実効性の高い適切な教育や指導へ応用することを狙う。
2.研究の対象
2025年度 基本的臨床能⼒評価試験(GM-ITE)を受験した臨床研修医のうち、試験結果及びアンケート結果の研究利用について、十分な理解の上、研究対象者本人の自由意思による研究参加の同意が得られた方
3.研究に用いる試料・情報の種類
(情報)GM-ITE試験結果、GM-ITE受験者(研修医)の基本情報(学年、性別、志望専門科目等)、所属施設データ(病院分類、病院規模、病院立地、総合診療科の有無等)、アンケート結果
4.研究に用いる試料・情報の提供を開始する予定日
2026年4月1日
5.研究に用いる試料・情報の提供を行う機関
特定非営利活動法人 日本医療教育プログラム推進機構
理事長 黒川 清
6.研究責任者及び研究に用いる試料・情報を利用する者の範囲
京都大学医学部附属病院 総合臨床教育・研修センター/消化管外科 特定病院助教 笠原 桂子(研究責任者)
沖縄群星臨床研修センター センター長 徳田 安春
順天堂大学 医学部医学教育研究室 教授 西﨑 祐史
京都大学医学部附属病院 総合臨床教育・研修センター 准教授 和足 孝之
7.外部への試料・情報の提供
上記データを特定の個人が識別できないように匿名化し、匿名加工データファイルとしてセキュリティが確保されたインターネット経由、または電子媒体(特定の関係者以外がアクセスできない状態)で提供を行う。
8.試料・情報の管理について責任を有する者の氏名
京都大学医学部附属病院 総合臨床教育・研修センター/消化管外科 特定病院助教 笠原 桂子
9.試料・情報の利用又は他の研究機関への提供の停止
本研究への情報の利用について、研究対象者または代理人がご了承いただけない場合には研究対象としない。その場合はJAMEPのホームページから「研究利用に関する不同意書」をダウンロードしていただき、必要事項を記入の上、下記連絡先まで申し出ることとする。不同意を理由に不利益を受けることはない。また、GM-ITEおよび本アンケートにより取得された情報は、当該研究のほか、将来計画される臨床研修プログラムおよび研修環境の調査・改善に関する研究に利用する可能性がある。将来の研究の概要および提供先となり得る研究機関の情報は、JAMEPのホームページに公開する。
10.お問い合わせ先
本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。
照会先・不同意書提出先:
特定非営利活動法人 日本医療教育プログラム推進機構
〒141-0032 東京都品川区大崎1-19-10 大崎KIビル6F
TEL. 03-6431-8191
研究責任者
京都大学医学部附属病院 総合臨床教育・研修センター/消化管外科 特定病院助教 笠原 桂子